たくさんのウンチは、幸せな気持ちを増します。「食物繊維の摂取量と自殺の関係」
2019年11月01日|REPORT
メキシコが世界で最もウンチの量が多い国の一つで、同時に自殺率が低い国と言われています。2016年の10万人当たりの自殺者数は、日本が18.5人に対して、メキシコは5.1人で、4倍近く違います。(日本は先進国でトップ)
メキシコ人のウンチの量が多いのは、芋や豆類、フルーツなどの食物繊維を多く含む食品を摂取しているからです。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校が行った研究によると、幸せホルモンとして知られるセロトニンやドーパミンの約90パーセントは腸で作られているのだそうです。そのため、人の思考や行動パターンは腸内細菌によって影響されることが分かっています。
その腸内細菌は大きく分けると善玉菌と悪玉菌に分類されるのですが、善玉菌は腸内で作られた幸せホルモンを脳に運ぶ役目をしていることが明らかになってきました。
1960年代から日本の食事は欧米化し、肉料理をよく食べるようになりました。肉類に含まれる脂肪は消化しにくいので、腸壁にとどまり粘液の分泌を阻害し、長時間ウンチを体内に留めることになります。
ウンチが腸の中に長時間溜まってしまうと、腸内で悪玉菌がどんどん増殖してしまい、一方で、幸せホルモンを運ぶ役割をする善玉菌の割合が少なくなってしまうため、便秘になるとイライラしたり気分が落ち込む原因になってしまいます。
排出するウンチの量と幸福感は比例するのだそうで、ウンチの量が多ければ多いほど自殺率は下がり、ウンチの量が少なければ少ないほど自殺率が増加します。
ウンチを腸に溜め込むという行為は、不幸を体に溜め込んでいることと何ら変わりはないことになります。
私たちのウンチの量や質は、食べ物の影響を強く受けます。食べ物の出すものを変えるためには、まずは入れるものを根本的に変える必要があります。ウンチの8割は水分ですが、残りの2割は食べかす(難消化性食物繊維)や腸内細菌の死がい、超粘膜の剥がれですから、ウンチの量は食物繊維の摂取量と深い関係があることがわかります。
スパーやコンビニなどで食品のパッケージを見ると、栄養成分表示が書かれています。炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたもので、最近はそれぞれの数値が載るようになってきました。機能性表示食品として若干高い価格で売られている食品も多くなりましたが、そのほとんどが「難消化性デキストリン」を加えたものです。この難消化性デキストリンは、主にトウモロコシのでんぷん分解物から作られ、Amazonからは500gで1000円前後で入手できるものです。
食物繊維には、水に溶ける水溶性のものと、水に溶けない不溶性のものに分類されます。水溶性のものとして、ペクチンやイヌリン、難消化性オリゴ糖、難消化性デキストリンがあり、ウンチに対して粘性を持たせスムーズな排便を促します。一方、不溶性の食物繊維は、セルロースやリグニンなどゴボウなどの野菜の繊維質に含まれており、ウンチの量を増やす働きをするといわれています。便秘に苦しむ人が、不溶性の食物繊維をとると腸内に詰まらせ便秘を悪化させるという報告もあります。
腸(はらわた)や腑を用いた慣用句はたくさんあります。昔の人は、腸の調子と感情や考え、健康が相互に依存しあっていることを知っていたと思われます。腸の機嫌はウンチでわかります。気分の落ちこみが続くときは、腸内の善玉菌が落ち込んでいるのかもしれません。
腸がつく慣用句
腸が腐る
精神が堕落する。性根が腐る。「―・ったやつ」
腸がちぎれる
耐えがたいほどの悲しみをおぼえる。「―・れる思い」
腸が煮え返る
言いようのないほど腹が立つ。はらわたが煮えくり返る。「親友の裏切りに―・る」
腸が見え透く
心の中がよく見える。言動とは裏腹の本心がよくわかる。「―・いたお世辞」
腸を断つ
1 悲しみに激しく心が痛む。断腸の思いをする。「―・つ気持ちで別れを告げる」
2 おかしくて大笑いする
断腸の思い
非常に激しく苦しい気持ちや悲しい気持ちのこと。断腸。
ふ【×腑】慣用句
腑が抜ける
意気地がなくなる。気力が失せる。腑抜けになる。「彼女の前では―・けたようになる」
腑に落ちない
納得がいかない。合点がいかない。「彼が落選したのは―◦ない」
腑に落ちる
納得がいく。合点がいく。「大西質店へ行けと言った意味などが―・ちた」〈織田作之助・わが町〉
腸がつくことわざ
酒に別腸あり
読み方 さけにべつちょうあり
意味 人には酒の入る特別の腸があり、酒量は身体のには関係がないということ。
断腸の思いの故事
『世説新語・黜免』にある以下の故事に基づく。
晋の武将桓温が船で蜀に攻め入ろうとして三峡を渡ったとき、その従者が猿の子を捕らえて船に乗せた。母親の猿は泣き悲しみ、連れ去られた子猿の後を百余里あまりも追ったが、ついに母猿は船に飛び移ったが、そのままもだえ死んでしまった。母猿のはらわたを割いてみると、腸がずたずたにちぎれていた。